家電量販店やネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」が、10月28日にラジオの売れ筋ランキングを公開しました。10月12日〜18日の実売台数で、1位はパナソニックのポケットラジオ「RF-P155-S」、2位は同じくパナソニックの「RF-P55-S」、3位は朝日電器(ELPA)の「ER-H100」でした(BCN+Rの記事)。

ワイドFM(FM補完放送)は、AMラジオの番組をFMの電波でも流す仕組みです。AMの送信所を止める放送局が増えているいま、ラジオを買うときに確かめておきたいのが、このワイドFMにどこまで対応しているかという点です。そこでradio labでは、上位10機種の仕様をメーカーの公式ページで一台ずつ確認しました。

10機種のうち9機種は、拡張後のワイドFM帯域まで受信できる

メーカー 機種 FMの受信範囲 電源 電池での持ち(スピーカー使用時の目安)
パナソニック RF-P155-S 76〜108MHz 単3×2本 FM約64時間
パナソニック RF-P55-S 76〜108MHz 単3×2本 FM約64時間
パナソニック RF-2450-S 76〜108MHz AC100V/単3×4本 FM約61時間
朝日電器(ELPA) ER-H100 76〜95MHz AC100V/単1×3本 FM210時間
オーム電機 RAD-P300S-K 76〜108MHz 単4×2本 FM約80時間(イヤホン使用時)
オーム電機 RAD-P212S-S 76〜108MHz 単4×2本 FM約150時間(イヤホン使用時)
オーム電機 RAD-T206S 76〜108MHz AC100V/単1×2本 約150時間
東芝ライフスタイル AX-HR20(K) 76.0〜108.0MHz 単3×2本 約75時間
東芝ライフスタイル AX-SHR70(K) 76.0〜108.0MHz USB給電(DC5V)/単2×3本 FM約140時間
東芝ライフスタイル AX-HR50(K) 76.0〜108.0MHz AC100V/単1×3本 FM約400時間

価格は、パナソニックと東芝の機種がオープン価格、オーム電機の3機種は公式直販サイトで1,960円〜3,480円でした。ELPAの機種は、公式ページで価格を確認できませんでした。

ワイドFMの帯域は、総務省の制度改正で2025年5月19日に上限が95.0MHzから99.0MHzへ広がりました。表のうち受信範囲が108MHzまである9機種は、広がった後の帯域もそのまま受信できます。

気をつけたいのは、3位のELPA「ER-H100」です。受信範囲が95MHzまでなので、95MHzより上の周波数を使う局が今後出てきた場合、その局は受信できません。とはいえ、総務省の一覧(2025年4月1日時点)では、いまあるワイドFM局で最も高い周波数は94.9MHzです。今日聴いている局が聴けなくなるわけではありません。単1電池3本でFMを約210時間聴ける機種なので、停電への備えとして選ぶ人もいると思います。買う前にこの点だけ知っておくとよいでしょう。

なぜ今、ワイドFMに対応しているかが大事なのか

総務省は2023年から、民放AM局がAMの送信所を休止しても免許の取り消しにつながらない「運用休止の特例」を設けています。2025年9月に始まった第二期には、CBCラジオや京都放送(KBS京都)など14社が新たに加わりました。総務省のQ&Aでは、休止している事業者は27社、AM局は88局とされていて、休止できる期間は最長で2028年10月31日までです。

2026年8月31日に改められた総務省の基本方針には、休止したAM中継局を特例の期間が終わった後に廃止できるよう制度を整えることや、AMからFMへの転換を判断する基準づくりを進めることが書かれています。日本民間放送連盟(民放連)も、FM転換の制度づくりを急ぐよう総務省に求めています。

AMの送信所が休止した地域では、その局をラジオの電波で聴くにはワイドFMを使うことになります。今回の売れ筋10機種はすべて90MHzより上を受信できましたが、家にある古いラジオを使い続けるつもりなら、仕様表や本体の目盛りで90MHzより上を受信できるか、一度確かめておくと安心です。

AMの局をFMで聴ける地域は、まだ増えている

北海道では、HBCラジオとSTVラジオが旭川にFM補完中継局を開き、11月9日から運用を始めます(STVラジオは92.6MHz)。詳しくは旭川FMの記事にまとめました。各局のワイドFMの周波数は、radio labの局ページでも確認できます。


出典:BCN+R「パナソニックがワンツーフィニッシュ ラジオ人気ランキングTOP10 2026/10/28」(https://www.bcnretail.com/ranking/research/detail/20261028_671440.html )。仕様は各メーカーの公式ページ(パナソニック、朝日電器、東芝ライフスタイル)、オーム電機は公式直販サイト「オーム電機ダイレクト」の商品ページで確認(2026年10月30日時点)。総務省「AM局の運用休止に係る特例措置」(https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/am_station.html )、同「ワイドFM」(https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html )、日本民間放送連盟の意見書(2026年8月19日掲載)、STVラジオ ニュースリリース(2026年10月14日)。