業界別ラジオ広告の出稿傾向では全国集計を扱ったが、局単位で見ると出稿する業種の顔ぶれは大きく異なる。radio lab収録の57局・提供クレジット2,682件(現在有効分)を局別・業種別に分解すると、地域の産業構造を映すような集中が見つかった。
自動車のまち・名古屋を映すZIP-FM
自動車・モビリティ業界の出稿は全国で85件確認できたが、その約2割にあたる16件が愛知県のZIP-FM1局に集まっている。東京都(都内6局のうち4局に分散して合計30件)に次ぐ多さを、1局だけで記録している計算だ。
内訳を見ると、愛知トヨタ(3件)、TOYO TIRES(2件)、ジャパンレンタカー(2件)に加え、ボルボ インターヨーロッパ、Jeep FRC GROUP、トヨタレンタリース名古屋など、車種・ブランドの異なる複数の広告主が並ぶ。特定の1社が繰り返し出稿しているのではなく、自動車関連の広告主が業界として集まっている状態だ。
背景には資本関係もある。ZIP-FMはトヨタ自動車が主要株主の1社(2026年2月時点で10.8%を保有)で、開局以来の歴代社長もトヨタ自動車出身者が務めてきた(2026年6月に同局初の生え抜き社長へ交代予定)。トヨタ自動車の本拠地である愛知県の産業構造と、局の資本構成の両方が、ラジオの出稿にも表れている形だ。
同じ愛知県のCBCラジオでは、自動車ではなく食品・飲料・酒類が最多(分類済み12件中6件)。同一地域でも局によって出稿業種は分かれる。
首都圏キー局に集まる不動産・住宅
東京都の不動産・住宅・建設は74件(分類済み全体の最多カテゴリ)で、TOKYO FMとJ-WAVEに集中する。YKK AP(13件)、CHINTAI(12件)、竹中工務店(5件)、三井不動産(3件)、UR賃貸住宅(3件)と、こちらも複数社にまたがる出稿が確認できる。番組提供に加えて「CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ」(TOKYO FM)のような冠番組もあり、業界内で比較的積極的な出稿が見られる点は、業界別ラジオ広告の出稿傾向で触れた全国傾向と同じ構図だ。
業界トレンドと、1社の集中出稿は分けて見る
一方で、局別に見ると「業界の集中」ではなく「1社の複数回出稿」に見える例もある。
- エフエム青森の小売・流通(分類済み17件中7件)は、そのうち6件がジャパネットたかた1社によるもの
- BAYFM78の金融・保険(分類済み10件中6件)は、そのうち5件がJA共済1社によるもの
いずれも局の看板的な取引実績ではあるが、「地域の小売業界・金融業界がラジオに積極的」という業界トレンドとして読むのは早計だ。1社の出稿量が多いだけの状態と、複数の広告主が同じ業界に集まっている状態は、分けて評価する必要がある。ZIP-FMの自動車・TOKYO FM/J-WAVEの不動産は後者(複数社型)、エフエム青森の小売・BAYFM78の金融は前者(1社集中型)にあたる。
この記事の限界について
radio labが収録しているのは全国57局分の公開番組表・タイムテーブルの提供クレジットで、日本の民放ラジオ局全体(100局超)を網羅したものではない。また業種を分類できているのは提供社全体の3割弱にとどまり、残り7割超は「不明」として集計から除外している。局単位の件数も数件〜十数件規模のものが多く、統計的な有意差を示すものではない点にご留意いただきたい。
ラジオ出稿を検討中の方へ
自社の業界がどの局でどれだけ出稿されているかは、提供社ページやラジオ出稿診断からも確認できる。nandoではラジオ局との取引実績をもとに、業種特性に合わせた番組選定から出稿までのご相談を承っている。
出典: radio lab収録データ(2026年9月時点)・ZIP-FM(Wikipedia)