「ラジオはテレビ離れの受け皿」という語られ方をされがちだが、実際に起きているのはもう少し違う現象らしい。ラジオ局の現場や公式調査データを追うと、「懐古的なブーム」ではなく「デジタルプラットフォームとしての再定義」が進んでいることが見えてくる。本記事では、出稿を検討する広告主向けに、ラジオ・音声コンテンツの強みを裏付ける外部の一次情報を整理した。

1. 若年層にとって、ラジオは「オールドメディア」ではない

ヤフーニュース(ピンズバNEWS、2026年8月31日配信)の取材によれば、TOKYO FM総合プロデュース局コンテンツ・プロデュース部長の砂井博文氏は、10代のリスナーには「ラジオは古いメディア」という感覚自体がないのではないかと指摘している。スマホアプリのradikoで聴く体験は、SpotifyやYouTubeと並ぶ「コンテンツプラットフォームの一つ」として受け止められているという。

ラジオ局の主要リスナー層は依然として40〜60代だが、10代の頃のラジオ体験がその後の聴取習慣を左右するとの認識から、『SCHOOL OF LOCK!』のような中高生をターゲットにした番組に力を入れている局もある。長期的なリスナー育成という視点は、単発キャンペーンの反応だけでは見えにくい、ラジオ出稿のもう一つの意味合いといえる。

2. 音声は記憶に残りやすい ―― radiko×NeUの脳科学実証実験

株式会社radikoは2023年10月5日、脳科学ベンチャーの株式会社NeUと共同で、音声広告と映像広告の記憶への残り方を比較する実証実験の結果を発表した。38名を対象に、fNIRS(脳血流計測)・心拍/皮膚電位測定に加えてWEBアンケートを実施したところ、「過去に見聞きした広告の内容を思い出せた」経験は、映像視聴時が38%だったのに対し、音声聴取時は70%にのぼった。実験直後・1週間後のいずれの記憶テストでも、音声広告の方が「広告のストーリー・内容」の記憶率が高いという結果も示されている。画面を伴わない分、聴覚への情報の残り方に一定の優位性がある可能性を示すデータといえる。

3. 音声広告は「ストレスが少ない」―― radiko公式調査

株式会社radikoが2025年11月25日に発表した「生活シーン別のメディア接触傾向調査」(全国16〜69歳、本調査1,000名/うちラジオユーザー500名、2025年9月実施のインターネット調査)では、媒体別の広告ストレス実感を比較している。

媒体 広告ストレスを感じる割合
ラジオ/radiko 33.5%(最小)
テレビCM 41.7%
動画広告(各種) 50〜65%台
ゲームアプリの動画広告 60%超

週1回以上ラジオを利用する層に限ると、ストレス実感は30.0%までさらに低下する。同調査は、ラジオ/radikoが自動車移動中・勉強中・仕事中など「画面を見られない=他メディアが届きにくいホワイトスペース」で存在感を発揮しているとも指摘している。

4. メディア信頼度、ラジオは1年で最大の伸び幅 ―― 新聞通信調査会

公益財団法人新聞通信調査会が2025年10月11日に公表した「第18回メディアに関する全国世論調査」(全国18歳以上5,000人対象、訪問留置法、有効回答2,665人、2025年7月18日〜8月17日実施)では、各メディアの情報信頼度を100点満点で採点している。

媒体 信頼度スコア 前回調査からの増減
NHKテレビ 66.8点 +0.1点
新聞 66.2点 +0.3点
民放テレビ 60.1点 −0.3点
ラジオ 55.4点 +1.3点
インターネット 47.4点 (08年度58.0点から長期低下傾向)

ラジオの信頼度そのものはNHKテレビ・新聞・民放テレビに次ぐ4番手だが、前回調査からの伸び幅(+1.3点)は調査対象メディアの中で最大だった。インターネットの信頼度が長期的な低下傾向にある一方、ラジオはこの1年で最も評価を上げたメディアという結果になっている。

5. 接触時間は反転上昇、ポッドキャストは15〜19歳の4割が利用

株式会社博報堂 メディア環境研究所が2025年6月4日に発表した「メディア定点調査2025」(東京都15〜69歳650サンプル、2025年1月24日〜2月7日実施)によれば、ラジオの1日あたり接触時間は24.0分で前年比+1.0分。近年の減少傾向から反転上昇に転じた。同調査ではメディア総接触時間も440.0分(過去最高)で、スマートフォン165.1分・テレビ122.1分と続く。

一方、音声コンテンツのもう一つの柱であるポッドキャストも伸びている。株式会社オトナルと株式会社朝日新聞社が2026年2月に発表した「第6回ポッドキャスト国内利用実態調査」(全国15〜69歳10,000人対象のスクリーニング調査、うち日常的ユーザー800人が詳細調査対象)では、ポッドキャスト利用率は18.2%で前年から1pt増加。15〜19歳では40.5%、20代では28.8%と、若年層ほど利用率が高い。利用者の8割が「ながら聴き」で利用しているという結果も、前述の「ホワイトスペース」での存在感と符合する。

6. リーチの実態:radikoの月間ユーザー数

株式会社radikoの2025年5月30日付プレスリリースによれば、radikoの月間ユニークユーザー数は約850万人、全国のラジオ局が聴取できる有料サービス「ラジコプレミアム」の会員数は100万人を超えている。地上波の聴取に加えて、radiko経由のデジタル接触が一定の規模で積み上がっていることがわかる。

7. マクロで見た広告費の動き(電通「2025年 日本の広告費」)

電通が2026年3月に発表した「2025年 日本の広告費」によると、2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で4年連続の過去最高を更新。インターネット広告費は4兆459億円(同110.8%)で、総広告費に占める構成比は初めて50%を超えた。

新聞・雑誌・ラジオ・テレビのマスコミ四媒体広告費は合計2兆2,980億円(同98.4%)で、このうちラジオ広告費は1,153億円(同99.2%)とほぼ横ばい。四媒体全体がインターネット広告の伸びに押される構図の中、ラジオは大きく落ち込むこともなく水準を維持している。

この記事の限界について

上記の調査はそれぞれ実施主体・調査対象・手法が異なり、単純に数値同士を比較できるものではない。また「広告ストレスが低い」ことと「広告効果が高い」ことは同義ではなく、実際の効果測定には別途の指標が必要になる。自社の商材・ターゲットに対する実際の反応は、各局への確認や過去の出稿事例の参照をおすすめする。

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出典: 「再ブーム」ではないラジオ人気「テレビ離れとは真逆」の若者がハマる意外な理由(ピンズバNEWS、Yahoo!ニュース、2026年8月31日配信)/音声広告と映像広告の記憶に関する実証実験(株式会社radiko・株式会社NeU、2023年10月5日発表)/生活シーン別のメディア接触傾向を調査(株式会社radiko、2025年11月25日発表)/第18回メディアに関する全国世論調査(公益財団法人新聞通信調査会、2025年10月11日発表)/メディア定点調査2025(株式会社博報堂 メディア環境研究所、2025年6月4日発表)/第6回ポッドキャスト国内利用実態調査(株式会社オトナル・株式会社朝日新聞社、2026年2月発表)/株式会社radiko 新経営体制について(株式会社radiko、2025年5月30日発表)/2025年 日本の広告費(株式会社電通、2026年3月5日発表)